認知心理学 cognitive psychology
認知心理学は人間がものごとを認識する仕組みを科学的に明らかにする学問です。
初期の特徴
表層とは内的に構成される対象表現
入力と出力だけ考える行動主義とは違い、主体の内面に切り込んで表層がどのように処理されるかという過程も扱う
計算論的モデルを用いて心を理解しようとすること
人間と同様の知的処理をするためにはどのようなプログラムが必要かを検討する
感情、文化、社会という要素を棚上げし個人の記号処理に関心が集中している
30年ほど経過して
環境、社会、感情との相互作用
個人の記号処理過程のモデル化からの解放
統制された実験室の中で蓄積されたデータへの批判
主体と状況の協調的関係の中で人々の賢さを理解する
ハッチンス
大型船舶のチーム航行
おのおのが活動する
すべてを把握している人間はいない
各メンバーで調整が必要であるがその手続きが明示的に表現されているわけではない
局所的な相互作用の結果として全体的作業の実行の構造が自然と発生する
大型船の運航という知的作業は、制度的分業体制、各種道具テクノロジーコミュニケーションなどの状況との相互作用で生まれる
認知とは個人の頭の中だけでなく状況(社会)の中に分散している
道具があるから知的作業ができる
感情が認知に及ぼす影響
60年
心理的メカニズムには文化を越えた普遍性があり進化的基盤がある
例えば友達に馬鹿にされて怒りを覚えるなどは誰かに教わったわけではない
意義
不合理なヒューリスティックやバイアスが存在することの意味を示唆している
あるこうどうが不合理にみえるのはものさしが間違っている可能性
不合理な解でも適応的観点からは合理的な可能性
単純な認知心理学的な誤りへの深い理解が可能になる
身体感覚や状態が認知に与える影響
歴史
コンピュータサイエンスとの合流
人間の認知を情報処理の過程に見たててモデル化する方法を情報処理アプローチなどそれまでとは全く異なる研究の流れ
1956/09 マサチューセッツ大学でシンポジウムが開かれる
認知心理学はその一部
1967 ナイサーが「認知心理学」という本を出版し認知心理学という言葉が認識される